犬の毛包虫症(アカラス、ニキビダニ)
皮膚のバリア機能の低下により毛包虫(ニキビダニともいう)という寄生虫が増殖すると、脱毛や皮膚の角化、二次的な細菌感染を起こします。毛包虫自体は母犬から子犬時代に移ると言われており、発症するかは個々の免疫によります。
アレルギー性皮膚炎などの発症がまだ可能性として低い、一歳未満の子犬などが皮膚の脱毛や痒み、フケなどの症状がある場合はまずは寄生虫感染や真菌(カビ)症を疑います。この場合、顔面で特にひどい症状がある時は毛包虫以外にもカイセンダニと言われるダニが原因のこともあります。いずれにしろ、病変部位をカリカリと削ったり、毛を抜いて顕微鏡で検査をすることが必要です。
写真は生後4ヶ月のビーグルちゃん。体を痒がるということで、耳の後ろの脱毛部分から検査しました。
すると、顕微鏡検査にて毛の毛根部分に近いところに毛包虫が確認されました。このダニは、肉眼では分かりませんので、顕微鏡で検査が必要です。
病変部位から多数の毛包虫が検出されたことから、毛包虫症として治療をスタートしました。現在はこのダニに対して有効性のあるノミマダニ薬が多数あるため、その薬の塗布と、二次的な細菌感染を抑えるための抗菌薬を処方しました。定期的な検査と追加治療によって脱毛は無くなりました。冒頭でも書きましたが、この寄生虫症は皮膚バリア機能の低下により生じるため、子犬のほかに高齢犬や免疫抑制のかかる治療薬を使っている時などに起こりやすいです。痒みがありアレルギーと誤診してステロイドなどを使い、余計悪化したりすることもあるので注意が必要な病気です。皮膚が痒いときに安易に薬などを使う前に、必ず皮膚の検査を行うことが重要です。