早朝の嘔吐、異物(誤食、嘔吐)
早朝に白い泡を吐く、なんてのは犬ではよくあります。大抵はお腹が空きすぎが原因で、吐いた後に食欲があってご飯を食べるなら大丈夫でしょう・・とかなんとか説明することもありますが、若い犬が繰り返す場合は要注意です。
みなさんは犬や猫が何か間違って食べてしまった時、食欲がなくなったり嘔吐したりすると思うでしょう。実際は胃や腸で詰まったとき(閉塞)には嘔吐などの症状が出ますが、胃の中に異物が留まっているときはケロッとしてることも多いのです。今回は、「朝だけ吐くけど、それ以外食欲あって元気」という1歳のわんちゃんの胃の中の異物についてご紹介します。
数日続けて朝だけ嘔吐する。吐くのは泡だけ。というワンちゃん。本人はいたって元気で、食欲もあり下痢もありません。夜ご飯と朝ご飯の間隔を短くして、空腹の時間を減らすこと、夜食をあげてもいいことも伝え、胃酸を抑える薬を処方いたしました。しかし薬を飲んでいるときは吐かないが、飲まないと吐くとのこと。異物を食べた可能性は低いということでしたが、レントゲンと超音波エコー検査を実施しました。
しかし、直前に食べたフードが胃の中にあり、レントゲンもエコーもわかりにくくなっていました。そのため、翌日、絶食の状態で来院してもらいました。
写真でも分かるとおり、なんらかの異物が胃の中に認められました。フードが胃の中にあるのとないのでは、これだけ検査の精度が変わってきます。画像だけで100パーセント異物が見つかるわけでもないですが、今回は絶食して検査をし直したことで異物がわかったという貴重な症例となりました。
異物を摂取した場合は、お腹を切開しなくて済む内視鏡による摘出と、お腹を開けてさらに胃腸を切開する摘出の二つのパターンか、あるいは内視鏡で摘出できずその後開腹して摘出するパターンがあります。当院には内視鏡の設備がないため、飼い主さんと相談したうえで開腹することとなりました。
結果としては、窓ガラスに貼る硬めなデコレーションシールだったようです。テイッシュに包んでゴミ箱に捨てたものを、ティッシュごと漁ったのだろうということです。幸い術後は元気ですぐに退院しました。異物誤食はこのように「食欲もあって食べるけどたまに吐く」という症状のこともあります。疑わしい際は、「絶食して」検査に来られると良いと思います。そしてなにより誤食させないようおうちを片付けましょう。