子猫の脱毛・皮膚糸状菌症(カビ・真菌症)

春から秋にかけては外で生まれた子猫が保護されるシーズンです。そして、その子猫の皮膚になんらかの異常が認められた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。ノミマダニなどの外部寄生虫もそうですが、人にも感染する病気を持っている可能性があります。そしてその代表的な病気が「皮膚糸状菌症」です。

典型的な耳の脱毛

口元の赤みと脱毛

皮膚糸状菌症は若い子猫や免疫低下した状態の猫に発症します。典型的な症状は皮膚の左右非対称な脱毛、赤み、フケです。進行すると脱毛が大きく広がったり、その部位をなめたり掻いた前足、口、後ろ足の先端などにも広がります。大体は体の先端、鼻先、口元、指先、耳などから発症します。

検査としては特殊な光を当てるウッド灯検査、毛を抜いたり皮膚を引っ掻いてでたフケを検査する顕微鏡検査、培養検査などがあります。

ウッド灯

患部が蛍光色に光る

顕微鏡検査。被毛の三層構造が崩れ、かずのこのような分節分生子が認められる。

同じく被毛の顕微鏡検査。培養検査と違い、その場で迅速な検査ができる。

人と違い毛に感染するため、いわゆる塗り薬の効果が低いことが特徴です。一般的には部分的な消毒薬の塗布、薬用シャンプーと抗真菌剤の内服薬で治療を行います。1ヶ月など長期の投薬が必要となることが多いですが、肝臓への負担がかかる可能性もあり、血液検査などでモニターする必要があります。

この病気は人にもうつる感染症ですので、猫の治療中は掃除の徹底と廃棄、布系のものはハイターなどの塩素系漂白剤を使って洗浄消毒する必要があります。飼い主さんにも症状が現れた場合はすみやかに人間の病院へ受診しましょう。

十円玉大、茶色く変色した病院スタッフの皮膚糸状菌の症状。

最初にもお伝えしましたが、早めに動物病院へ受診することが肝心です。子猫は兄弟など複数で保護されることもあり、蔓延してからだと管理が大変です。もちろん一頭症状があれば皆、治療するのが良いと思われます。本猫たちは比較的痒がらないことも多いですが、環境が汚染されるともし次に保護された子猫がいれば、その環境で感染してしまいかねません。今後のためにもしっかりと治療しましょう。

 

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