脂肪腫、高齢、ミニチュアダックスの巨大な皮膚のしこり

16歳のダックスちゃん。歯周病治療希望で来院されましたが、背中に大きなしこりもありました。かかりつけ病院では経過観察しており、かつ、今は高齢で手術はできないとのことだったようです。当院で術前検査を行い、腫瘤も細胞診で脂肪腫と比較的良性な腫瘍の可能性であったため、全身麻酔にて手術することにしました。本来歯周病治療と体表腫瘤切除を同時に行うべきではありませんが、高齢で何回も手術をすることが大変であるため飼い主さんと相談の上、皮膚の腫瘤を摘出したあと、歯の処置を行うこととしました。(歯科処置は細菌を撒き散らす危険があるため、無菌操作が絶対な手術の現場では、同時に行わないことが基本です。)

全身麻酔をかけ、バリカンで毛をかり、消毒しました。腫瘤の取り残しがないようにメスで切開切除したのち、皮膚を縫合しました。その後歯科治療を行いました。一泊点滴入院をしたのち退院しました。

全身麻酔下でバリカンをかけたところ

切除したところ

摘出した腫瘤6cmもあった

ひきつれないように皮膚を縫合

抜糸で来院されたとき。しっかり傷口がついている。

抜糸で訪れた時はすっかり元気になり、お散歩も以前より楽しそうにいくとのことでした。病理検査では「皮脂腺過形成」「脂肪腫」という結果で、良性のものでした。「高齢で麻酔がかけられない」とかかりつけから話があった際は、それで諦めずにセカンドオピニオンを受けるのも良いでしょう。全身麻酔は高齢動物ですとどうしてもリスクはあがりますが、年齢だけでの判断ではなく、体格、心肺機能の評価、内臓の評価、予備能の精査が必要です。ご相談ください。

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