犬の目が濁ってきた。若い犬の角膜の異常
わんちゃんの目が白く濁っている場合、考えられるケースは多数あります。両目であれば全身性疾患が関与していることもありますし、片目だけであれば目だけに限局した疾患かもしれません。同時に結膜も充血しているか、涙は出るか、目を閉じ気味か、元気食欲不振、たくさんお水を飲むなど全身症状はないか。そういった事柄を飼い主さんに聞きながら実際に目の検査を始めます。
トイプードル、2歳のわんちゃん。目が白っぽいとのことで来院されました。

右目。上の方に角膜にうっすら血管が新生しています。

左目。明らかに目が全体的に混濁し、周囲から血管が角膜に入ってきています。
目が白く濁っている場合はどの部位が濁っているかが重要で、大抵は目の角膜・前房・水晶体のいずれかになります。

鑑別診断のてびき眼からイロイロ より引用
今回は目の表面全体が濁っており、血管新生および肉芽までありましたので、角膜の問題と考えれられました。角膜混濁の鑑別としては以下をあげます。
- 角膜内皮ジストロフィー
- 角膜潰瘍
- 角膜穿孔
- 角膜内皮障害
- 角結膜疾患
- ぶどう膜炎
- 水晶体疾患(水晶体前方脱臼)
- 緑内障
これらを鑑別するために涙液量検査、眼圧測定、スリットランプ検査、フローレスセイン染色検査などを行いました。角膜の傷はありませんでしたが角膜の外側(輪部)から中央にむかって血管神経、肉芽形成を伴い、かつ痛みがないことから角結膜疾患の中でも慢性表層性角膜炎を疑いました。これは若い犬にみられ、免疫の異常が考えられます。通常左右対称に認められます。抗炎症の点眼薬を処方し3日後に来院していただきました。

右目は血管も消失し、ほぼ正常化

左目も白濁が減少、血管も消えつつある。
幸いにも点眼の効果があり、白濁は減少していました。そのまま点眼を継続、通院していただき、点眼回数も徐々に減らしました。

右目。正常

左目も問題なし
当院で行うトリミングの際に定期的にチェックさせていただいておりますが、点眼なしでも再発なく落ち着いています。免疫疾患を疑っての治療でしたが、再発した場合はその都度、検査をしてから治療を行います。使用する点眼薬によっては角膜に傷があると悪化させることがあるからです。目の症状は早期に治療をしないと失明したり、後戻りできない状況になることもしばしばあります。わんちゃんねこちゃんの目の異常に気づいたら、早めに病院に受診しましょう。