子宮に膿が溜まってしまう子宮蓄膿症は、犬や猫で避妊していない雌の病気として有名です。今回、4歳の未避妊トイプードルちゃんが食欲がなく水ばかり飲んでいる、お腹が張っているということで来院されました。血液検査で炎症があることがわかり、お腹の超音波検査をすると、普段なら確認できない子宮が、液体が溜まりパンパンになっていることがわかりました。

液体の貯留した子宮

臨床症状と検査結果から、子宮蓄膿症としましたが、この病気は放っておくと全身に菌が周り命を落とす事もあります。そのため、手術で卵巣子宮を摘出するいわゆる避妊手術を行う事となりました。

拡張した子宮

お腹のなかはパンパンに拡張した子宮がありました。膿が漏れでないように慎重に卵巣子宮を摘出しました。

摘出した卵巣子宮

子宮の中の膿

摘出した子宮に注射器を指して吸引すると、赤黒い膿が確認されました。こんなものがお腹の中にいっぱいあったと思うとぞっとしてしまいますね。子宮蓄膿症は、悪化すると麻酔をかけることも困難なほどに状態が悪くなることも多々あります。今回は術後数日はしっかりとした抗菌薬の投与と点滴を行い、無事に退院されました。

術後入院の様子

子宮蓄膿症はシニアで多いとされておりますが、若い子でもなんらかの原因で抵抗力が落ちると発症することもあります。シニアだと、より治療が困難になりますので、予防の上でも繁殖を検討していないワンちゃんや猫ちゃんは生後半年くらいまでの避妊手術をお勧めします。避妊していない子は、発情出血の後などにずっと出血しているとか、おりものがある、お腹がはってきたときなどは、早めに動物病院に受診しましょう。